渕上猛志さん
●『日本一醜い親への手紙』の読後感 想文
議員として虐待問題に取り組む過程で、多くの被虐待児のメッセー ジを見てきました。
それでも、100通もの大量のメッセージを一 気に読んだのは初めてで、胸に迫るものがありました。
私自身が今後の虐待防止の取り組みを進める上で、この本が大変参 考になった点は、大きく下記の3点です。
一つ目は、虐待の種別を理解する重要性です。
一般的な虐待の四類 型に留まらず、文化的虐待、経済的虐待にもしっかり目を向けてい る点も、この本の特に印象的な点でした。
「経済的虐待」という言 葉だけを聞けば、「それぞれの家庭の経済状況があるのだから」と 思われる大人も多いでしょう。
それが虐待の範疇から除外されてし まえば、これを防ぐことも、また、 そこから救うことも困難になります。
例えば広河美代子さんの手紙 は、そうした考えを一瞬で破壊するものであり、「経済的虐待」と いう概念を広く理解してもらう上で、貴重なメッセージだと思いま す。
二つ目は、虐待かどうかを判断するのは、現在と未来の被虐待児、 あるいは専門的な第三者であり、決して虐待をした側ではないとい うことです。
こうした発想は、昨今、 セクシャルハラスメントなどでは「当たり前」になっているにも関 わらず、こと虐待においては、決して一般的にはなっていません。
三つ目は、課題を抱える家庭の、全体を支援することの重要性です 。
めいさんの「きょうだい児」では、障害児のいる家庭での、健常 児への虐待が紹介されていました。
障害児のいる家庭では、どうし ても障害児自身と、その親に行政の目が向きます。
また、周囲の大 人たちも、そうなってしまうことでしょう。
しかし、その隙間でこ うした虐待が起こりうるわけで、社会も行政も、その家庭全体を支 援するという発想が重要です。
以上、読後の感想とさせて頂きます。
社会が虐待を知り、虐待に目 を向け、社会全体で虐待を無くしていくために、こうした本にもっ と光が当たることを願います。
●私が今後の議会にはかる子ども虐待防止策
・児童相談所の増員
昨年の議会で増員を求め、今年度約1割の増員となりましたが、ま だ十分ではなく、引き続きの増員を求めていきます。
・児童相談所の職員のスキルアップ
現体制は非常勤職員や、若手職員が中心となっており、正規職員、 中堅・ベテラン職員、専門職職員の重点的な配置を求め、職員全体 の底上げを図ります。
・児童相談所の機能分化
一時保護(分離)、家庭の再統合、里親の普及等のサポート環境の 整備、少なくとも三つの機能ごとに、独立した部署を設け、専門性 を高めます。
・警察、保育所、医療機関等の関係機関との連携
警察との虐待情報の共有を進める他、それぞれの機関との情報交換 の機会を定期化し、その際の児童相談所の窓口を固定化(一本化) します。
・乳幼児の確認の拡充
現在の堺の乳児の全戸訪問、1才半、3才半健診時の全幼児の確認 に加え、就学前健診(教育委員会所管)においても、 欠席者も含め、保健師による全就学前児童の直接確認が必要です。
・意図しない妊娠への寄り添いサポート
妊娠SOS窓口の広報と共に、課題のある妊婦への寄り添い相談、 訪問事業を拡充します。
また、必要な場合には特別養子縁組を積極 的に推奨します。
・子育て相談の広報強化
行政、NPOなどで設置している子育て相談の存在を、妊娠の届け 出、出生届等の市役所窓口や、幼稚園・保育所、小児科医など、 子育て家庭への接点を活用して、積極的に広報し、子育て家庭の孤 立化、課題の深刻化を防ぎます。
・乳児院、ファミリーホームを核とした社会的養護ネットワークの 構築
堺市内に1か所の乳児院、各区(できれば各中学校区)へのファミ リーホームの設置を目指します。
ファミリーホームは、1~ 2人分の定員の枠を残しておき、乳幼児の一時保護先として活用す る他、地域の里親サロンとして、里親家庭の相談、 レスパイト機能を持つ、多機能ファミリーホームを目指します。
・性教育の推進
オランダの性教育のように、小さな子どもでも、嫌なものには「N o」と言えること、そして言うことの大事さを伝えていきます。
・被虐待児や、児童養護施設の退所後のアフターフォロー
心理的、経済的なサポートはもちろん、自身が子育てをする際に「 どうすればいいかわからない」というケースも多く、虐待の連鎖を 防ぐ上でも、手厚い子育て相談等のサポートが重要になります。
・子どもの権利条約に根差した啓発活動
「子どもが権利を持つ主体であること」を、教育、各種行政サービ スや主催イベント、地域活動等々を通じて啓発し、市民への浸透を 図ります。
●私が被虐待児なら、前述の虐待防止策に何%満足か?
私の取り組みだけで被虐待児の満足度を数値化することはできませ んし、無意味と考えます。
虐待は事案によって千差万別だからです 。
また市(議会議員)の取り組みだけでなく、 国や都道府県の取り組み、さらには地域の協力が必要だからです。
また、取り組みが充実していても(あるいは、時として、していな くとも)実際に被虐待児に接する多くの大人たちの一挙手一投足に よって、その児童の心身の状況は良くもなり、 悪くもなるからです。
回答は以上です。
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