■僕らの考える子ども虐待防止策

 子ども虐待防止策を更新させるために、このプロジェクトを運営する僕(今一生)や大阪の地元市民グループ「Power to the Children in Osaka」が求めている変革は、以下の通り。


 親権については、政府広報のホームページにわかりやすく書かれている。
 親権喪失の審判は子どもでも申し立てられるが、学校では教えてもらえないままだ。
 緊急性の高い深刻な虐待を親が子どもにしていても、親権の喪失や一時停止は家裁へ申し立てるしかなく、望み通りの裁定を得られるとも限らない。

 司法手続きは丁寧に行われるため、裁定までの待ち時間の短縮が難しいし、虐待の事実を立証する証拠や証言を得ることも子どもには難しい。

 現行制度のままでは、親権の一時停止や喪失を早めることは難しい。

 児相の職員が行政の権力行使をためらうのも、慢性的な予算不足で事実確認のための人員が足らないからだが、28年前に比べて約130倍に増えてしまった虐待相談に見合うほどの予算を政治家が議会で承認するのは、50年でも足りないだろう。
 その50年の間に、子どもは親による虐待でどんどん命を奪われ続けてしまう。

 つまり、虐待案件を児相や司法に任せておけば、今後も虐待死や虐待による精神病・自殺を減らせないままなのだ。
(※虐待防止策を作ってきた専門家は、自らの失敗を認めず、約30年間の長きに渡って一度も責任をとってこなかった)


 現行法では、親権者ではない人が被虐待児を保護できても、早めに児相に保護を求めなければ、虐待親から警察へ誘拐罪を訴えられ、逮捕されるリスクも負ってしまう。
 しかも、虐待してきた親から親権を奪うことができても、子どもは養護施設か里親のどちらかしか選べない。

 里親になれる条件はかなり厳しいため、マッチングが難しく、虐待されたことで心に重いストレスを抱えた子どもを育てる里親も親権者としては2名しかいないため、里親から虐待された子どもも少なからずいる。
 かといって、養護施設での暮らしもストレスフルで、大学進学率も一般の3分の1に下落し、職員による虐待もあることから、施設出身者の中には「あそこは刑務所」という子も珍しくない。

 そこで、父母に親権を独占させている制度を根本的に見直し、誰もが親権者になれる制度(親権フリー)や、子ども自身が3人以上の親権者を選べる制度(親権シェア)へ変革することを提案したい。
 子どもが自分を害する親権者を排除し、自分に必要な親権者を家の外にいくらでも安心して指名・選択できる制度こそ、子どもの権利行使を保証するものではないか?
(※10歳未満は、弁護士が後見人として子どもの権利の代行ができるようにすればいい)

 生み育ての親が虐待をする家で育つのは危険だし、親権の単独・共同を争う両親の姿を子どもは見たくない。

 それなら、子どもが信頼を寄せる相手、たとえば独身の担任教師や、親友の家族、塾の先生、少年サッカーチームのコーチなど、子どもが自分の身近にいる大人の元へいつでも身を寄せられる権利を法的に保証してほしい。

 子どもが親権者を自由に選べる権利を持てば、親権者は子どもから信頼されるための努力を要求される。

 親権者自身が子どもから排除されないよう、親権者の務めを果たそうと考えてくれる法制度(親権フリー&シェア)に改革すれば、子どもを虐待したくてもできなくなる。

 この制度改革が実現すれば、親権者の責任を分担できる。
 1人の子どもを大学卒業まで育てるのに3000万円はかかると言われているが、両親がいても1人の親権者あたり1500万円を22年間で負担しなければならない。

 3人目の親権者をつけられれば、各親権者の経済的な負担が3分の1(各自1000万円)になり、4人いれば4分の1(750万円)になり、コストが軽くなるため、どんどん子どもを産みやすくなる。

 親権者は、個人だけでなく、NPOや企業、塾、学校などの法人でもなれるようにすれば、法人として多くのスタッフや資金を子育てに投入することも容易になる。
 「近所のあの子の親権者になりたいけど、うちはお金に余裕はないし…」と考える市民も、町内会やお寺の檀家などの法人単位で親権者になれれば、それこそが「子どもは社会で育てる」(=父母だけに責任を負わせない)社会の実現ではないか!

 このように、親権者を今よりもっと増やせる制度に変えれば、少子化対策にもなるし、結婚促進策としても有効だ。

 そのためには、未成年の権利こそ聖域として守り、家裁の裁定を待たなくても自由に親を選べる制度に変える必要がある。

 現行制度では、親は一方的にわが子を里子に出せるのに、子どもは親を選べない。
 こんなパワーバランスを欠いた関係では、子どもは理不尽な扱いに忍耐だけを強いられるし、親権者が子どもから信頼されるように努める動機も生まれないまま。
 だからこそ、虐待防止を有効にするには、法制度を変えるため、政治家を動かすことが必要な時代になっているのだ。



 小児科学会が発表した推計値によると、年間350人もの15歳未満の子どもが親による虐待死で殺されているという。
 日本では、毎日1人の子どもがどこかで親に殺されているのだ。

 いったい何人の子どもが親による虐待死で殺されたら、有権者と政治家は本気で虐待防止策を考えだすのだろう?
 そんな今の日本に住んでいるあなたに問いたい。

 伝統的な家族観を守りながら、今後も子ども虐待を増やし続けたいですか?
 それとも、新しい制度を作り、子どもの人権と命を守れる改革を始めますか?

 昔の考えのままで先に死んでいく親を、子どもより大事にするのですか?
 それとも、新しい時代状況を生きていく子どもを優先的に大事にしますか?

 その答えを出すのは、もう「待ったなし!」。
 子ども虐待のニュースに本当に胸を痛めているなら、答えは難しくないはずです。



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